SNSで突然流れてきた、EDMにも似た中毒性の高いサウンド。車のエンジン音やドリフト映像、ジムでの筋トレ動画に合わせて流れることが多く、思わず耳に残った経験はありませんか?
その正体は、近年TikTokやYouTubeを中心に世界的に注目を集めている音楽ジャンル 「Phonk(フォンク)」 です。
この記事では、Phonkの起源・流行の背景・代表的な楽曲・おすすめの聴き方シチュエーションまでをわかりやすく解説。
読み終えるころには、あなたのライフスタイルに合った「Phonkの楽しみ方」がきっと見つかるはずです。
Phonk(フォンク)とは?
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Phonk(フォンク)は、近年SNSや音楽配信サービスを中心に急速に人気を集めているヒップホップから派生した音楽ジャンルです。
特徴は ローファイな質感、重低音を効かせたビート、そして ダークで不穏な雰囲気。90年代のメンフィス・ラップにルーツを持ちながらも、現代のリスニング環境に合うようアップデートされています。
特に車のスピーカーやジムのサウンドシステムで聴いたときの「身体に響く音圧感」が魅力で、リスナーを強烈に惹きつけています。
注意:Phonk(フォンク)とFunk(ファンク)は違う音楽ジャンル
なお、名前が似ている Phonk(フォンク)と Funk(ファンク) は別の音楽ジャンルです。
Funkは1970年代に発展したリズミカルでグルーヴ感のあるブラックミュージックで、James BrownやParliamentといったアーティストが代表的です。
一方のPhonkは、1990年代のメンフィス・ラップをルーツに持つヒップホップの派生ジャンルで、よりダークでローファイなサウンドを特徴としています。
※「Funk(ファンク)」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
Phonkの起源
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Phonkの源流は1990年代のアメリカ・テネシー州メンフィスのアンダーグラウンド・ヒップホップにあります。
当時のラッパーやビートメイカーは、安価な機材やカセットテープを使って音源を制作し、独特の荒削りなサウンドを生み出しました。録音は粗く、音質はこもっていましたが、それが逆に“生々しさ”や“ストリート感”を強調する要素となったのです。
さらに、ホラー映画の効果音やジャズ/ソウルのフレーズをサンプリングして不気味さを演出します。声はピッチを下げられたり加工され、暗い雰囲気を漂わせました。こうしたスタイルは一部の熱狂的なファンに支持されましたが、当時は主流ではありませんでした。
ただし「Phonk」という名称自体は当時存在せず、2010年代にSoundCloudやYouTubeを通じて若手プロデューサーたちが再解釈する中で、ジャンルとして確立されました。
なぜ流行っているのか?
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Phonkの爆発的な流行の背景には、SNS文化との親和性があります。
- TikTokやInstagram Reelsとの融合
特に「ドリフト走行」や「車の映像」と組み合わせた動画でバズを起こしました。重低音と疾走感あるサウンドは視覚的インパクトと強く結びつき、拡散力を高めています。 - フィットネス/筋トレ動画との相性
ジムでのトレーニング動画のBGMとして多用され、モチベーションを高める音楽として定着。HipHopを好む層にとっては親しみやすく、新しい刺激を与えてくれる存在になっています。 - ストリーミング世代にマッチ
短尺でも中毒性のあるループ感が、SpotifyやYouTubeのプレイリスト文化、さらにTikTokのショート動画と驚くほどマッチしました。
このように、Phonkは単なる「音楽ジャンル」にとどまらず、ライフスタイルや映像文化と結びついた現象として広まっています。
有名なPhonkおすすめの曲
Phonkを初めて聴くなら、以下の代表的な楽曲から入ると世界観がつかみやすいです。
DJ Smokey –「Codeine Demonz」
この曲は、カナダ出身のビートメイカーであるDJ Smokeyの代表曲です。
荒削りなビートに重い808ベース、そして不穏なサンプリングを組み合わせたサウンドは、フォンク特有の“中毒性”を体感できます。90年代メンフィス・ラップの影響を色濃く残しつつ、インターネット世代に響く新しいスタイルを提示した一曲です。
$uicideboy$ –「Paris」
この曲はニューオーリンズ出身のデュオである$uicideboy$ を世界的に知らしめた代表曲。
攻撃的かつ退廃的なリリックとダークなトラップビートが融合し、聴く者を圧倒します。フォンクとトラップの要素が交差するこの楽曲は、ジャンルを超えて支持を集め、SNS世代がフォンクに触れるきっかけとなった作品です。
DJ Yung Vamp –「IM ON DA BLOCK」
これはベルギー出身のDJ Yung Vampによる人気トラックです。
ジャズやソウルをサンプリングしたメロディックなループと、ローファイな質感のビートが心地よい一曲です。攻撃的というよりも聴きやすさが際立っており、フォンク初心者でも入りやすい“入門編”としておすすめできます。
いずれもPhonk特有の「ローファイ質感」「重低音」「ダークな雰囲気」を体感できる名曲です。SpotifyやYouTubeには専用のプレイリストも豊富にあるので、気軽に探索してみましょう。
Phonkに合うシチュエーション
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Phonkは、ただ聴くだけでなく「いつ・どこで聴くか」によって魅力が大きく変わるジャンルです。場面に合わせて流せば、そのシーンをさらに盛り上げてくれます。
ドライブ中
夜の高速道路や街中のドライブにPhonkを流せば、重低音と疾走感が景色とリンクし、まるで映像作品の主人公になったような感覚に。特に Drift Phonk 系の楽曲は、スピード感や緊張感を演出するBGMとして相性抜群です。
筋トレ・ジム
一定のテンポと力強いベースは、トレーニング時のリズムを自然に引き上げてくれます。ベンチプレスやランニングなど、モチベーションを維持したい瞬間にぴったり。ジム動画でPhonkがよく使われるのも納得です。
作業・勉強
Phonkの中でもループ感が強いトラックは、作業用BGMとして集中力を高めるのに効果的。ローファイ的な要素を含む曲を選べば、チルしつつも適度な緊張感を保てます。夜の勉強やデスクワークの“相棒”にもなります。
Phonkの更なる進化
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Drift Phonk(ドリフト・フォンク)
近年SNSで特に人気を集めているのが Drift Phonk(ドリフト・フォンク) と呼ばれるサブジャンルです。
通常のPhonkよりもテンポが速く、カウベル音(cowbell)や甲高いシンセサウンドが強調されるのが特徴。車のドリフト映像やレース動画と相性が良く、TikTokやYouTubeで爆発的に広まりました。
特にKORDHELLの「MURDER IN MY MIND」はDrift Phonkとして有名です。
夜のドライブやジムでのトレーニング中に聴くと、疾走感と緊張感が高まり、まさに「映像と一体化する音楽」として楽しめます。
KORDHELL - MURDER IN MY MIND
「Passo Bem Solto」 – Atlxs
ブラジル発のアーティスト Atlxs による「Passo Bem Solto」も、新しい潮流を象徴する楽曲のひとつです。
ジャンル的には「Brazilian funk(ブラジリアン・ファンク)」に分類されることもありますが、Phonk的な加工ボーカルやリズム構造が取り入れられ、「Brazilian Phonk」とも呼ばれることがあります。
115〜116BPMの軽快なテンポに、独特のボーカルサンプルが組み合わさり、SNSでのダンス動画やリール音源として拡散しました。
このように、Phonkはアメリカ南部のヒップホップをルーツに持ちながらも、ブラジルなど各地域の音楽文化と融合し、新しい形へと進化しています。
他ジャンルへの影響
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Phonkは一過性のブームにとどまらず、さまざまな音楽ジャンルに要素を浸透させています。以下で具体例を挙げながら、その広がりを見ていきましょう。
トラップ/ドリルへの影響
Phonkの持つダークな質感や重低音を強調するビート構造は、トラップやドリルにも大きな影響を与えています。
特にカナダのラッパー Night Lovell はその代表例。彼の楽曲は深い808ベースと暗く沈んだトーンを特徴としており、Phonk的なサウンドデザインを取り入れたトラップのスタイルとして世界的に支持を集めています。
また、アメリカ南部のトラップや、UKドリルの一部にも、Phonk由来の荒削りで不穏なビートメイクのアプローチが見られるようになりました。
ローファイHipHopへの影響
ローファイHipHopは「チルな雰囲気で作業BGMに使えるジャンル」として人気ですが、近年はPhonkとの融合によって新しい聴き方が提案されています。
Soudiere はフランス出身のビートメイカーで、Phonkシーンの中でも特に「ローファイ的な質感」と「ダークなサンプリング」を組み合わせたスタイルで知られています。
彼の楽曲は、ジャズやソウルのサンプルを加工して生み出されるメロディアスで耳なじみの良いループに、Phonk特有の重低音ベースやドラムパターンを重ねるのが特徴です。その結果、「チルで落ち着けるのに、どこか不穏さを感じる」という独自の世界観を確立しました。
まとめ
Phonk(フォンク)は、90年代メンフィス・ラップの再解釈から生まれ、SNS時代にブームとなった新しいHipHopの形です。
その ローファイな音質 と 重低音の迫力 は、ドライブや筋トレなど日常のシーンに力を与えてくれます。
もしあなたが「最近SNSでよく聴く謎の音楽って何?」と気になっているなら、それはPhonkかもしれません。ぜひ代表曲から聴いてみて、新しい音楽体験を楽しんでください。