音楽を聴いたり、動画編集をしていると「.m4a」という見慣れない拡張子に出会うことがあります。
「mp3、wavとは違うの?」「変換できるの?」と疑問に思う人も多いはず。
この記事では、m4aの基礎知識からメリット・デメリット、mp3やwavとの比較、変換方法、さらに文字起こしの方法まで徹底解説します。
これを読めば、自分にとって最適なファイル形式が選べるようになりますよ。
M4Aとは?
m4a(.m4a) は、音声専用のファイル形式です。正式には「MPEG-4 Audio」の略で、もともと動画を扱うmp4という形式から「音声だけ」を切り出したものです。
動画と音声を格納できるmp4に対して、m4aは音声のみとなっており、同じビットレートならmp3よりも高い音質が特徴的です。また、音質を担保しつつストレージを節約できる利点もあります。
中身のコーデックは主にAAC(Advanced Audio Coding)とALAC(Apple Lossless Audio Codec)の2種類です。
観点 | AAC(Advanced Audio Coding) | ALAC(Apple Lossless Audio Codec) |
圧縮方法 | 非可逆圧縮(削ったデータをもとに戻すことができない) | 可逆圧縮(元の音声を完全保持できる) |
音質 | mp3より高音質であり、日常的なリスニングに十分。 | CD音質・ハイレゾ音質をそのまま保持 |
容量 | 小さい(1分あたり約1〜2MB程度) | 大きい(wavよりは軽いが数倍〜数十MB) |
用途 | ストリーミング、ダウンロード販売 | 音楽制作、アーカイブ、ハイレゾ配信 |
再生環境 | Phone/iTunesなどApple環境に最適。多くの配信サービスで採用 | Apple製品で標準サポート。他社再生環境では対応が限定的 |
編集耐性 | 高音質&軽量で使いやすい/ストリーミングに強い | 劣化なしで編集可。音楽制作やマスタリングに向く |
メリット | 高音質&軽量で使いやすい/ストリーミングに強い | 音質劣化がない/長期保存や制作に安心 |
デメリット | 再変換で音質が落ちる/非対応機器が残る | 容量が大きい/互換性がAACより低い |
AAC(Advanced Audio Coding)は非可逆圧縮であるため、少ない容量でも高音質という点が特徴的です。mp3より効率が良く、ストリーミングやダウンロード販売に広く使われています。
しかし、非可逆圧縮のためデータの復元ができず、再変換の際に元のデータの音質を落としてしまいます。
ALAC(Apple Lossless Audio Codec)は可逆圧縮であるため、CD音質やハイレゾ音質をそのまま保持しつつ、WAVより軽量に保存可能です。また、データ復元を可能とし、音質の劣化が少ないため、音楽制作に適しています。
しかし、容量がAACと比べて大きく、互換性が低いということは注意しなければなりません。
M4Aのメリット
- 高音質かつ軽量
同じビットレートならmp3より音質が良く、ファイルサイズも小さいためストレージ節約に役立ちます。特にスマホやPCで大量の音楽を管理する人に最適です。 - Apple製品と相性抜群
iTunesやiPhoneでは変換なしで再生可能。音楽配信サービスやApple Musicともスムーズに連携します。 - ストリーミングに強い
YouTubeやSpotifyなど、今や多くの配信サービスがAAC(=m4a)を利用。最新の音楽環境に自然にフィットします。 - メタデータが豊富
曲名やアーティスト情報、ジャケット画像、歌詞データまで埋め込み可能。音楽ライブラリを整理するときにも便利です。
M4Aのデメリット
- 互換性の問題
古いオーディオ機器や一部のカーオーディオでは、m4aが再生できないことがあります。mp3の「どこでも再生できる」安心感には劣ります。 - 編集には不向き
AAC(非可逆圧縮)のm4aは、編集や再エンコードを繰り返すと音質が劣化します。音楽制作や加工には、非圧縮のWAVや可逆圧縮のALACが推奨されます。 - フォーマットの混同
AppleのDRM付き楽曲(拡張子.m4p)と名前が似ているため、混同されることがあります。m4a自体には著作権保護はかかっていません。
観点 | メリット(M4A) | デメリット(M4A) |
音質・容量 | 高音質で軽量。mp3より効率的 | 再変換を繰り返すと劣化 |
互換性 | Apple製品・配信サービスで便利 | 古い機器では非対応の可能性 |
ライブラリ管理 | 曲情報や歌詞を埋め込みやすい | 一部プレーヤーで情報が反映されない場合あり |
利用シーン | ストリーミングやスマホでのリスニングに最適 | プロ向けの録音・編集用途には不向き |
M4Aとmp3との比較
m4aとmp3を比べると以下のような違いがあります。
項目 | m4a | mp3 |
音質 | 高音質(効率的な圧縮) | 標準的。m4aに劣る |
容量 | 小さい | やや大きい |
再生環境 | Apple製品に強いが古い機器は弱い | ほぼすべての機器で再生可 |
普及度 | mp3ほどではない | 世界的に標準 |
変換方法:M4A ⇄ mp3
M4Aとmp3はどちらも圧縮音声形式なので、変換自体は簡単です。
基本は「変換したいファイルを追加し、出力形式を指定するだけ」。ここでは代表的な方法を紹介します。
方法①:iTunes(Apple Musicアプリ)を使う
・iTunes
- iTunes(Windows)またはApple Musicアプリ(Mac)を開く
- [編集] → [環境設定] → [一般] → [読み込み設定] を開く
- 「読み込み方法」で出力したい形式(M4AならAACエンコーダ、mp3ならMP3エンコーダ)を選択
- ファイルをライブラリに追加
- 右クリック → 「◯◯バージョンを作成」を選択(例:MP3バージョンを作成)
→ これで自動的に変換ファイルが生成されます。
この変換方法のメリットはApple公式ソフトなので信頼性が高いことです。また、複数ファイルをまとめて変換が可能であり、変換後はiTunes上で簡単にファイル管理ができるという強みがあります。
一方でデメリットは、iTunesやApple Musicアプリが必要になってしまい、Apple環境に依存してしまうという点にあります。Apple製品を愛用している方にはおすすめですが、そうでない方だと扱いに困ってしまうところがあります。
方法②:VLC Media Playerを使う
・VLC Media Player
- VLCを起動 → [メディア] → [変換/保存] をクリック
- 変換したいファイルを追加し、「変換/保存」を選択
- 出力形式で「M4A」または「MP3」を指定
- 保存先を決めて「開始」
この方法は無料かつオープンソースで信頼性が高く、WindowsとMacのどちらでも使えるという強みがあります。また、動画や他の音声形式の変換にも対応しています。
しかし、初心者の方には画面がやや複雑に感じてしまい、音質設定の細かい調整は慣れが必要です。
方法③:オンライン変換サイトを使う(Convertio, CloudConvert など)
・Convertio
・CloudConvert
- サイトにアクセス
- 「ファイルを選択」で変換したいファイルをアップロード
- 出力形式で「M4A」または「MP3」を選ぶ
- 「変換」をクリック
- 完了後にダウンロード
この方法では、ソフトをインストールする必要がなく、スマホからでも簡単に使えます。
手順が非常にシンプルであるため、知識がない方でも簡単に扱うことができます。
しかし、無料版は変換時間やファイルサイズに制限があることに注意を払わなければなりません。また、インターネットにアップロードするため、機密性の高いデータには不向きであり、回線速度によって処理に時間がかかってしまうのは難点です。
注意:変換を繰り返すと音質は劣化してしまう
M4AとMP3はどちらも非可逆圧縮のため、変換を繰り返してしまうと音質が劣化してしまいます。また、MP3→M4Aに変換しても音質が向上しない点も考慮しなければなりません。
音質を維持したい場合は、一度WAVなどの無圧縮形式に変換してから編集・保存するのがおすすめです。
WAVとは?
WAV(Waveform Audio File Format) は、マイクロソフトとIBMが開発した音声ファイル形式で、Windowsを中心に標準的に使われてきたフォーマットです。
特徴は「非圧縮のリニアPCM(Pulse Code Modulation)方式」が使われることが多く、音質が劣化しない点にあります。
WAVの特徴
- 非圧縮で高音質
録音した音をそのまま保存できるため、音質は劣化せず原音そのまま。音楽制作やプロのレコーディングに必須の形式です。 - 容量が大きい
例:CD音質(44.1kHz/16bit/ステレオ)の音声は、1分で約10MB。
M4Aやmp3に比べると数倍〜10倍近く容量が大きくなります。 - 編集に強い
加工・トリミング・エフェクト処理を繰り返しても劣化がなく、DAW(音楽制作ソフト)や動画編集ソフトで中間ファイルとしてよく使われます。 - 再生環境は広い
Windowsはもちろん、Macや多くの音楽ソフトでも再生可能。ただしスマホで持ち歩くには容量の大きさがネックです。
WAVの利用シーン
- 音楽制作(録音・ミックス・マスタリング)
- 高音質で残したいアーカイブやバックアップ
- 動画編集の音声トラック
- 配信前の中間ファイル
非圧縮で高音質のため、音楽制作の場面やレコーディングで重宝されています。また、WindowsとMacの両方に対応しています。
しかし、m4aとmp3と比べて容量が大きいというデメリットがあります。
M4Aとwavとの比較
項目 | wav | m4a |
音質 | 非圧縮で最高音質 | 圧縮ありだが高音質 |
容量 | 非常に大きい | 小さい |
用途 | 音楽制作・編集 | 音楽配信・再生 |
編集のしやすさ | 劣化なしで編集可 | 再圧縮で劣化 |
変換方法:M4A ⇄ WAV
M4AとWAVは性質が大きく違います。
- M4A:圧縮(軽い、高音質、配信向け)
- WAV:非圧縮(重い、劣化なし、編集向け)
そのため変換はよく行われます。編集や保存ではWAV、配信やストレージ節約ではM4Aにすると便利です。
方法①:Audacityを使う(無料・Win/Mac)
・Audacity
手順
- Audacityを起動 → [ファイル] → [読み込み] → [音声の読み込み] でM4AまたはWAVを開く
- 編集や音量調整が必要ならここで作業
- [ファイル] → [書き出し] → [WAVとして書き出し] または [M4A (AAC/ALAC) として書き出し] を選ぶ
- 出力設定を調整(ビット深度、サンプルレートなど)
この方法だと、変換と同時に編集作業ができます。AAC(圧縮)/ALAC(ロスレス)のどちらのM4Aにも対応しており、音質や形式を細かく指定できます。
しかし、初回はFFmpegの追加インストールが必要な場合があり、慣れない人には設定画面がやや難しいと感じてしまいます。
方法②:VLC Media Playerを使う(無料・Win/Mac)
・VLC Media Player
手順
- VLCを起動 → [メディア] → [変換/保存]
- 変換したいM4AまたはWAVを追加 → [変換/保存]をクリック
- プロファイルから「WAV」または「M4A(AAC)」を選択
- 出力先を指定して [開始]
この方法は軽量でインストールが簡単というメリットがあります。
また、動画・音声どちらも対応しているため汎用性が高く、複数ファイルの一括変換が可能です。
ただ、この方法はメタデータ編集に弱く、プロファイル設定に慣れが必要です。
方法③:iTunes / Apple Musicアプリを使う(主にWAV→M4A)
・iTunes
・Apple Music
手順
- アプリを起動 → [編集] → [環境設定] → [一般] → [読み込み設定]
- 「読み込み方法」で「AACエンコーダ」または「Apple Losslessエンコーダ」を選ぶ
- WAVファイルをライブラリに追加
- ファイルを右クリック → 「AACバージョンを作成」または「Apple Losslessバージョンを作成」
このiTunes / Apple Musicアプリを使う方法はApple公式のものなので、安定・安全AAC(配信用)/ALAC(保存用)どちらも対応しています。
しかし、Apple環境に依存してしまう点や細かなビットレート指定が難しいというデメリットがあります。
方法④:オンライン変換サイトを使う
・Convertio
・CloudConvert
手順
- ConvertioやCloudConvertなどにアクセス
- M4AまたはWAVをアップロード
- 出力形式で「WAV」または「M4A(AAC/ALAC)」を選ぶ
- [変換]をクリック → 完了後ダウンロード
この方法はソフトを必要とせず、スマホからでも可能です。また、操作がシンプルで初心者でも簡単に扱える点もメリットの1つです。
しかし、アップロードするためにはセキュリティに注意しなければなりません。
また、無料版は時間・容量制限がある点も気をつけなければなりません。
どのような人におすすめなのか?
- m4a:ストレージを節約しながら高音質で音楽を聴きたい人、Apple製品ユーザー
- mp3:とにかく互換性を重視する人、古い機器で聴くことが多い人
- wav:音楽制作・動画編集をする人、最高音質を扱いたい人
M4Aのデータを文字起こしする方法
m4aは音声ファイル形式なので、会議の録音やインタビュー、講義の記録などを文字に起こすのにそのまま活用できます。ここでは代表的な4つの方法を紹介します。
方法①:Googleドキュメントを使う(無料・簡単)
手順
- Google Chromeで「Googleドキュメント」を開く
- 新しいドキュメントを作成 → メニューの [ツール] → [音声入力] をクリック
- マイクの使用を許可する
- PCやスマホでm4aファイルを再生(外部スピーカーでもOK)
- リアルタイムで文字が入力される
Google Chromeブラウザ上で「音声入力」機能を有効化し、m4aファイルをPCのスピーカーなどから再生するだけで、リアルタイムに文字へ変換してくれます。
費用が一切かからず、Googleアカウントさえあればすぐに利用できる点は大きな魅力です。
一方で、録音環境が悪い場合や話者が複数いる場合などは認識精度が下がりやすく、誤変換が多くなってしまいます。またリアルタイムで音声を再生する必要があるため、長時間のデータを処理するときには時間がかかり、効率が落ちるという弱点もあります。
方法②:AIサービスを使う(精度が高い)
・ChatGPT
・Google Gemini
手順
- ChatGPTやGoogle GeminiなどのAIツールを開く
- m4aファイルをアップロード
- 「文字起こしして」と指示
- 自動でテキスト化 → さらに要約や議事録形式に整えることも可能
m4aファイルをアップロードして「文字起こしして」と指示するだけで、自動的に高精度なテキストを出力してくれます。AIならではの強みとして、単なる文字化だけでなく要約や翻訳まで一括で対応できる点があり、議事録や学習用資料の作成にも役立ちます。
ただし、長時間の音声を扱う場合には無料枠では対応しきれず、有料プランへの加入が必要になることがあります。またインターネット環境が必須であり、オフライン環境では利用できないのも制約の一つです。
方法③:専用ソフト・アプリを使う
・Notta
・AmiVoice
・oTranscribe
手順(例:Notta)
- 専用アプリやWebサービスにアクセス
- m4aファイルをアップロード
- 数分待てば自動で文字化 → 修正・共有も可能
これらのサービスはm4aファイルをアップロードするだけで高精度な文字起こしを行い、さらに話者の区別やタイムスタンプの挿入といった便利な機能も搭載されています。スマホアプリやWebサービスの形で提供されているため、外出先からでも手軽に利用できる点もメリットです。
ただし、こうした専用サービスは基本的に有料で提供されており、無料プランでは利用できる時間や文字数に制限があります。長時間の会議録や業務で頻繁に利用する場合は、コストがかかる点を考慮する必要があります。
方法④:オンライン変換サイトを利用する
手順
- サイトにアクセス
- 「ファイルを選択」からm4aをアップロード
- 自動で処理され、テキストをダウンロード可能
Sonix.aiやVeed.ioといったオンライン変換サイトを利用すれば、ソフトをインストールせずにブラウザ上で文字起こしができます。操作は非常にシンプルで、m4aファイルをアップロードするだけで自動的に処理され、テキストデータをダウンロード可能です。初心者でも迷わず使える点や、スマホからアクセスできる点も便利です。
一方で、この方法はセキュリティに注意が必要です。録音した会議の内容や未公開の音声データなどを外部サイトにアップロードするのは情報漏れのリスクがあります。
また、無料版では時間や容量に制限があり、長時間のファイルには対応できないケースも多いです。
まとめ
m4aは「高音質」「軽量」「Apple製品との相性の良さ」というメリットを持つ音声形式です。
ただし互換性や編集には弱点があるため、mp3やwavと使い分けるのがベスト。
- 音楽を楽しむリスナーにとって → ストレージを節約しつつ高音質で聴ける
- 音楽制作をするアーティストにとって → 配信形式を最適化してリスナーに作品を届けやすい
さらにm4aは文字起こしにも活用できるので、音楽以外にも実用シーンが広がっています。
これをきっかけに、ぜひ自分の環境に合った形式を選んでみてください。