コンサートとライブの違いを簡単解説!音楽ファンなら知っておきたい使い分け
音楽イベントに関する言葉として、「コンサート」と「ライブ」はよく耳にする言葉です。しかし、違いを明確に説明するのは難しい!という方も多いはず、、
そこで音楽ファンとしての毎日をもっと楽しむために、それぞれの違いを知っておけばアーティストやイベントをより良く理解するヒントになるかもしれません。
本記事を読めば、両者の違いや使い分け方、さらには「リサイタル」、「フェス」や「ショーケース」といった関連用語も含めて分かりやすく理解することができるでしょう。
コンサートとライブの基本的な違いは?それぞれの単語の原義
元来、コンサート(concert)という単語は、音楽家や歌手による音楽パフォーマンス全般を指します。つまり、元々はジャンルや形式にとらわれず、音楽を共有する場すべてをコンサートと呼ぶのです。
一方で、ライブ(live)とはライブパフォーマンスなどの略称であり、生演奏・生の歌唱という意味で使われます。つまり、ライブという言葉自体は和製英語であり、単語自体はリアルタイムで行われている、という意味しか持たないのです。
単語の原義的な観点から考えると、音楽パフォーマンス全般を指す「コンサート」という用語は、生のパフォーマンスである「ライブ」を包括するといえます。つまり両者は並立的・排他的な関係ではなく、重なり合う部分が多いのです。
したがって現在の音楽業界においては、両者は以下のような定義で使われています。
コンサート:音楽を披露・共有するための公演やパフォーマンス全般
ライブ:コンサートの中でも特に生演奏、生歌唱など生で披露される形態のもの
「リサイタル」との違いは?
これらに関連してよく使われるのが「リサイタル」という用語です。
リサイタル(recital)には、1人または少人数のグループによる演奏会(音楽・ダンス)、独唱・独演・独奏会、朗読会という意味があります。しかし近年では、クラシックの独奏会を意味するケースが多く、ピアノを始め様々なクラシック楽器を中心に使われています。
この三者の音楽業界における定義を表にまとめると以下の通りです。
コンサート | ライブ | リサイタル |
音楽を披露・共有するための公演やパフォーマンス全般 | コンサートの中でも特に生演奏、生歌唱など生で披露される形態のもの | コンサートの中でも1人または少人数の(音楽・ダンス)グループによる演奏会 |
実際の意図と使い分けられ方の傾向
先ほどの定義を踏まえて、「コンサート」、「ライブ」という2つの単語はそれぞれ以下のような意図・目的で使われているといえます。
コンサート:品格や空間づくりも意識した音楽を観客に届けるための、総合体験を提供すること
ライブ:臨場感にこだわり、客席とステージ双方からのエネルギーで音楽を共有する場を作り上げること
また実際の音楽業界では、主に以下の3つの要素に基づいて「コンサート」と「ライブ」の両者は使い分けられる傾向があります。
1.ジャンルによる使い分け
2.会場規模や演出の違い
3.ブランディング
ジャンルによる使い分け
音楽ジャンルによって、どちらの単語が使われるかにはある程度の傾向があります。
・クラシックーコンサート(リサイタル)
・ポップス・ロックーライブ
・アイドルーライブ(ショーケース)
・演歌・歌謡曲ーコンサート・ライブ
特にクラシックの場合は「○○交響楽団コンサート」などフォーマルな印象を大切にする傾向が強く、「ライブ」という言葉はあまり使われません。
逆に、バンドやソロアーティストのポップスでは臨場感のある「ライブ」という言葉の方がしっくりくるシーンが多いです。
会場規模や演出の違い
ライブとコンサートは、会場の規模やイベントの演出の違いにも影響されます。
コンサート:ホール、アリーナ、ドームなど、座席指定が多く公演をじっくり鑑賞するスタイルが中心
ライブ:ライブハウス、クラブ、野外フェスなど、立ち見や観客参加型スタイルが特徴的
ですが、これもあくまで傾向です。たとえば、アリーナで行われる大規模な「ライブ」もあれば、小さなホールで開催される「コンサート」もあります。
ブランディングによる差
「ライブ」か「コンサート」かの呼び方は、アーティストやプロモーターがブランディング目的で使い分けていることもあります。
クラシック歌手 → 「コンサート」で品格を演出
ロックバンド → 「ライブ」で熱狂・臨場感を前面に
アイドルグループ → ファンとの距離を縮める意味で「ライブ」や「イベント」と呼ぶ傾向
つまり、このイベントに足を運ぶことで「どんな体験をしてほしいか?」によって、呼び方が使い分けられているのです。
また、同じアーティストでも、その時々の演出やブランディング、追いたいイメージなどによって「コンサート」と「ライブ」という用語を使い分けることもあります。
アーティストはイベントの呼称ひとつ取っても、与える印象を鑑み趣向を凝らしているのだとうかがえます。
使い分けポイントまとめ
- ジャンルによって使い分けられているが、アーティストのスタイルや伝えたいメッセージにより異なる
- 同じアーティストでも「ライブ」「コンサート」を使い分けることがある
- 海外と日本での呼称が異なる場合もあり、メディアやファン文化が影響している
ちなみに、英語では「コンサート」が一般的な言い回しです。そのため海外アーティストでは原義に則り、表記も「concert」が主流ですが、日本公演の際は「Live(ライブ)」と訳されることも多く、柔軟に使い分けられています。
関連用語「フェス」「ショーケース」「ギグ」との違いは?
「コンサート」や「ライブ」の類義語として、「フェス」「ショーケース」「ギグ」などの用語を耳にすることも多いでしょう。
それぞれの定義、使い分けを見ていきましょう。
フェスの定義は?具体例なども併せて紹介
音楽フェス(フェスティバル)とは、複数のアーティストが出演し、屋外や屋内で行われる大規模なイベントのことを指します。1日限りのものから数日間開催されるものまで幅広く、中にはキャンプを伴うフェスもあります。単なるコンサートとは異なり、複数のステージが設けられることが多く、観客は自由に移動しながらさまざまなアーティストのパフォーマンスを楽しめます。Festivalという言葉通り、祭りのような体験ができるのが特徴です。
またフェスは主に
- ロックフェス
- ポップス&J-POPフェス
- EDM・ダンスミュージックフェス
の3種類に分けられ、それぞれ代表例は以下の通りです。
ロック | フジロック・ライジングサンロックフェスティバル |
ポップス&J-POP | 東京ガールズコレクション×フェス・イナズマロックフェス |
EDM・ダンスミュージック | ウルトラジャパン・エレクトロックス |
ショーケースってどんな時に使われる?
ショーケース(showcase)とは、新人やデビュー前のアーティストが初舞台を踏むイベントなどを中心に使われます。本来ショーケース(showcase)という単語には、良い部分を紹介する、披露する、という意味があります。そのことから主に、事務所やレーベルが新しい才能をお披露目するといった意味合いで使われるようになりました。
具体的には、 「TWICE DEBUT SHOWCASE Touchdown in JAPAN」という、TWICEの日本デビューの際に行われた記念公演のタイトルにショーケースという言葉が使われていました。
「ギグ」って何?おさえておきたい意味と場面
音楽ファンなら一度は聞いたことがあるかもしれない「ギグ」という用語は、「ライブ」と同じようなシーンでしばしば使われています。ここでも原義的な観点から考えると、「gig」という言葉は、単発の・短期的な演奏会という意味を持ちます。つまり、ゲリラ的なコンサートや、定期的に開かれない演奏会などに対して使われることが多いです。また現在の音楽業界では主に、ライブハウスなどを中心とした比較的小さめの会場で行われる「ライブ」、すなわち生演奏や生歌唱を指します。
まとめ:コンサートもライブも、”音楽を楽しむ場”
本記事では、「コンサート」と「ライブ」、またそれらの関連用語を中心に音楽業界におけるイベントについて解説しました。なぞったポイントは以下の通りです。
・「ライブ」は「コンサート」の中に含まれる存在であり、言葉の使い分けは場面や意図によって変わる
・ジャンルや演出、会場規模、伝えたいメッセージにより自然な呼び方が選ばれている
・フェスやショーケースなど、目的に応じて多様な音楽イベントが存在し、音楽ファンとアーティストを繋いでいます。
結局のところ、どんな名称でも本質は「音を楽しみ感動を共有する場」。
自分に合ったスタイルのイベントを見つけて、音楽をもっと楽しみましょう!
参考文献
https://www.ticket.co.jp/entx/music/concert_live_difference/
https://www.nordio.jp/industry/music_japan_fes
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/recital
https://www.merriam-webster.com/dictionary/showcase
https://www.merriam-webster.com/thesaurus/gig
https://eow.alc.co.jp/search?q=gig