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「Gacha Pop」の成功から考える日本音楽のグローバル戦略

NORDIO 編集部
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音楽ジャンル
2025.07.01
NORDIO 編集部

日本の音楽文化が世界で広がりつつある今、Spotifyが立ち上げたプレイリスト「Gacha Pop」の成功に注目が集まっています。本記事では、「Gacha Pop」の誕生背景から、ボカロや昭和歌謡といった日本特有の音楽ジャンルが国際的に支持を得ている現状までを、さまざまな視点から探ります。

「Gacha Pop」の誕生とその背景

2023年5月、Spotifyは日本の音楽文化を世界に広めることを目指して「Gacha Pop」プレイリストを立ち上げました。アニメ関連曲やボカロ、VTuberといった、Z世代に特に人気のある日本の音楽ジャンルを集め、さまざまなアーティストを国際舞台に送り出す試みです。このプレイリストのユニークな点は、「ガチャ」という要素を取り入れ、リスナーに新たな音楽との出会いを提供するところにあります。

「Gacha Pop」は、その新奇性から大きな注目を集め、2024年8月時点で約38.7万人のフォロワーを持つまでに成長しました。この成功は、特にアメリカ、メキシコ、イギリス、フランス、インドネシア、台湾などの国々で顕著であり、Z世代が主要なリスナー層を形成しています。

Spotify Japanの芦澤紀子氏によれば、ストリーミングの普及に伴い、日本の音楽やポップカルチャーを海外へ紹介することが、Spotifyの中で重要視されるようになったといいます。K-POPが国家規模で戦略的にグローバル展開されている一方で、日本の音楽は多様性が特徴です。Spotifyはその多様性を新しい価値観と共に感覚的に伝えることを目指し、時間をかけて「Gacha Pop」プレイリストを準備したといいます。

ボカロとイラストカバー:国際的な魅力

「Gacha Pop」の成功に大きく寄与しているのが、ボカロ関連楽曲とアーティストのイラストカバーの存在です。ボカロPが作曲した楽曲は、デジタルネイティブなZ世代に強く支持されており、YOASOBIやヨルシカといったアーティストが代表的です。彼らの楽曲は、「Gacha Pop」内で非常に高いパフォーマンスを示し、多くのユーザーがプレイリストに追加しています。さらに、Adoや星街すいせいといったイラストを多用するアーティストも国際的に支持を集めています。

ボカロ文化は日本独自のものでありながら、国境を越えて共感を呼んでいます。特に、初音ミクが米国の音楽フェスティバル「コーチェラ」で披露した楽曲が「Gacha Pop」に追加された際、そのパフォーマンスデータは非常にポジティブでした。これにより、ボカロ楽曲が日本国内だけでなく、国際的にも受け入れられる可能性が示されています。

昭和歌謡やヘヴィ系サウンド:多様な音楽の融合

「Gacha Pop」には、昭和歌謡やシティポップといったクラシックな要素を持つ楽曲も含まれています。これらのジャンルは、海外では特に再評価されており、TikTokなどのSNSを通じて拡散されています。たとえば、新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」は、昭和歌謡的なメロディーを持ちながら現代的なアレンジが加えられており、国際的な人気を博しています。

また、ヘヴィ/ラウド系サウンドも「Gacha Pop」でのパフォーマンスが注目されており、花冷え。やBAND-MAIDといったアーティストが例として挙げられます。これらのバンドは、国内ではスキップされがちなヘヴィな音楽性を持ちながらも、国際的には低いスキップレートを記録しており、グローバルなリスナーに支持されていることがわかります。

世界のトレンドに逆行する日本の音楽市場

日本でもデジタル売上は年々着実に伸びており、音楽市場の重要な部分を占めていますが、CDの売上が依然として大きな比重を持っていることが特徴です。世界的には2015年にデジタル売上がCDを上回り、アメリカや韓国では早くにCD市場が縮小していった一方で、日本ではCDが収益の中心的な役割を果たし続けています。これは、再販価格制度によるCD価格の安定や、中高年層をターゲットにしたマーケティング戦略が影響しており、こうした要因が日本の音楽市場を他国とは異なる独自の進化へと導いているのです。

日本の音楽業界は、「ガラパゴス化」とも呼ばれるこの独自の市場構造で成功を収めていますが、海外市場では苦戦を強いられてきました。こうした市場環境の中では、アーティストが国際的な成功を目指すモチベーションが生まれにくく、海外での売上が国内の10分の1以下に落ち込むケースも珍しくありません。

ガラパゴス化からの脱却:Gacha Popの挑戦

「Gacha Pop」は、このガラパゴス化した日本の音楽市場に新たな変革をもたらす可能性を秘めています。特にアニメ市場のブームがこの動きを後押ししており、動画配信サービスを通じて日本のアニメとともに音楽が世界中で注目を集めています。この現象の代表例が、YOASOBIの「アイドル」やCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」といった、アニメの世界観と強く結びついた楽曲です。

これらの楽曲は、単なるタイアップではなく、アニメの物語やテーマを新たな形で解釈し、作品世界をさらに拡張する役割を果たしています。たとえば、「アイドル」の歌詞が『推しの子』の物語と密接にリンクしているように、音楽がストーリーの別次元のキャンバスとして機能しています。このようなコラボレーションは、視聴者に深い印象を残し、アニメと音楽の両方に熱狂的な支持をもたらします。

まとめ:Gacha Popが描く未来

「Gacha Pop」は、日本の音楽シーンを新たな視点で捉え、その魅力を世界に発信する重要なプレイリストです。このプレイリストの成功は、日本の音楽市場が抱える課題を克服し、国際的な成功を目指すための一つの道筋を示しています。今後も、日本独自のカルチャーを活かした楽曲やアーティストを取り上げ、国際的なヒットを目指すことで、日本の音楽シーンの未来を切り開いていくでしょう。

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